イオウはくさいだけじゃない! 栽培記録 PlantsNote 
  • 使い方
  • 育て方を調べる
  • 栽培ノートを始める
  • トップページ
  • カテゴリ
  • Q&A
  • キーワード辞典

トップページ > 特集 > イオウはくさいだけじゃない!

イオウはくさいだけじゃない!

  • 1.イオウがないと大きくなれない
  • 2.イオウの役割

  • 前回まででN・P・Kについて紹介してきました。確かにこの3元素は植物の生長にとって最も重要です。でもこれら以外にも植物が生長する上で多くを必要とする元素がありますよね?そうです、多量必須元素の面々です。今回から3回に分けて、イオウ・カルシウム・マグネシウムについてご紹介していこうと思います。

    ではまず、イオウが植物の生長にどのように係わっているのか、次にそのイオウが不足するとどうなってしまうかについてそれぞれ説明していきます。

    1.イオウがないと大きくなれない

    窒素と異なり、イオウを大量に吸収しても過剰障害は起こしません。ただし土壌中にイオウが多いと、硫化水素が発生して根をいためたり、硫酸塩が溜まって土壌が酸性になったりするので注意が必要です。

    一方でイオウを欠乏すると窒素を欠乏した場合と同様、下の葉から順に黄色く変色していくと共に、あまり大きく育つことが出来なくなり、最終的には収量が低下します。
    また収量の低下だけでなく、収穫物の質も低下してしまいます。例えばコムギでは種子中に硫黄を含んだタンパク質の量が少なくなることで、あまり膨らみの良くない小麦粉になります。他にもナタネ油の原料に用いられるナタネでは油の含有量が低下します。

    イオウを欠乏した植物ではまず植物体内の硫酸イオンが減っていき、次にグルタチオンというイオウを含んだアミノ酸の量が減っていきます。
    イオウはタンパク質の構成要素ですが、イオウを欠乏してもタンパク質の全量はあまり変化しません。ここが窒素との違いですね。その代わりにタンパク質中のイオウの含量が低下し、少しパーツ不足のタンパク質となってしまい不具合が出てしまうということです。

    ちなみに、これまで日本ではイオウ欠乏症は出にくいといわれていました。なぜなら日本は火山が多いこともあって土壌にイオウをたっぷりと含んでいるからです。(※火山灰やマグマにはかなりイオウが含まれています。)また、工場から出る排気ガスに含まれる硫酸ガスも植物にとってはイオウの補給源となっていました。

    一方で最近は生産性の向上によって土壌中のイオウが植物に大量に吸収されたり、肥料の品質が向上したり硫安を使用しなくなったことでイオウが土壌にあまり供給されなくなったため、イオウの欠乏症が生じやすくなっています。

    万が一イオウが不足してしまった場合には、硫安を施肥することで解決できます。

    2.イオウの役割

    イオウはタンパク質の構成要素として大変重要です。ですのでポジショニングとしては窒素と近いものがあります。
    ただし窒素はタンパク質のパーツであるアミノ酸の必須構成要素であるのに対し、イオウはアミノ酸に含まれたり含まれなかったりということで、重要度は窒素>イオウとなります。それでも、遺伝子の発現をコントロールするアミノ酸に含まれていたりと、重要なポジションを占めていることに間違いありません。

    植物が合成することの出来る(動物はできない)必須アミノ酸の一つにメチオニンがあります。メチオニンはイオウを含むアミノ酸ですが、タンパク質を合成する際に非常に重要な役割を担っています。

    タンパク質の合成はDNAの塩基配列を3つずつ読み取って、その3つの組合せに対応するアミノ酸をぽこぽことくっつけていくことで行われます。この合成の中でのメチオニンの役割は、ここから塩基配列を読み取ってくださいと指示を出すことです。正確に言うと、メチオニンをコードする塩基配列がタンパク質を合成するスタート地点となっていて、タンパク質を合成する物質はそのスタート地点を見つけるとそこにくっつき、スタート地点以降の塩基配列を読み取ってアミノ酸をぽこぽこと自分にくっつけていくことで一つの大きなタンパク質を作り上げます。

    このように、イオウを含むアミノ酸やその他化合物は生体内で重要な役割を果たしており、そのため多量に必要になります。