マグネシウムは光合成の要 栽培記録 PlantsNote 
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マグネシウムは光合成の要

  • 1.マグネシウム不足で光合成不良
  • 2.マグネシウムの役割

  • 畑の土作りの際にほぼ確実にいれる苦土石灰。この苦土っていったい何か知っていますか?
    苦土とはマグネシウムのことで、知らず知らずのうち(?)に畑にマグネシウムを供給していたのです!!

    マグネシウムは多量必須元素の一つですが、これがいったいどのような働きをしているのかは栽培しているだけではなかなか見えてこないと思います。

    そこで今回は、なぜマグネシウムが必要なのかについて、まずマグネシウムを不足することで生じる欠乏症について解説し、続いてマグネシウムが植物のどのような部分に使われているかを解説することで、理解を深めてもらおうと思います。

    1.マグネシウム不足で光合成不良

    マグネシウムが欠乏すると、下葉などの古い葉に欠乏症が現れてきます。
    古い葉から欠乏症が現れる理由は、前回紹介したカルシウムと違って植物体内を移動しやすいからですね。

    マグネシウムの欠乏症は主に葉が黄色になることです。これをクロロシスといいます。窒素の欠乏症でも同様にクロロシスを生じますが窒素の場合は葉全体が黄色になるのに対し、マグネシウムの場合は葉脈だけに緑色が残って網目模様となります。また、葉以外には直接的に影響を与えません。

    それではマグネシウムを欠乏することによって、植物にどのような影響が出てくるかを順を追って説明します。

    ● まず下葉などの古い葉で葉が黄化します。
    ● 葉の黄化が進むと次第に茶色に変色していき、最終的には枯れて落葉します。
    ● 葉がどんどん落葉していくことで、光合成があまり行われないようになります。
    ● 光合成量が減ることでデンプンがあまり生産されなくなり、栄養不足のために収量が低下します。
    ● 特に糖分をためる野菜では、甘みが減り品質も悪くなります。

    マグネシウム欠乏症の応急措置としては、
    ● 硫酸マグネシウム液を葉に塗布する
    ● 苦土石灰を水に溶かして株元にまく(特に酸性土壌になっている場合)
    といったことが挙げられます。

    ただしこれはあくまで応急措置で、常に土壌中に適量のマグネシウムが存在するように畑を管理する必要があります。

    また、カリウムやカルシウムを施肥しすぎるとマグネシウムの吸収の妨げとなります。カリウムやカルシウムは過剰障害を起こしにくいですが、くれぐれもやりすぎには注意してください。

    2.マグネシウムの役割

    マグネシウムは構造的な役割と機能的な役割の2つで植物の生育に活躍しています。

    ● 構造的な役割
    マグネシウムは葉緑素(クロロフィル)の構成に必須となっています。というのもクロロフィルという化合物はマグネシウムを中心において、周りを囲むように他の元素がくっつくという形をとっているからです。マグネシウムはクロロフィルの生合成に必須となっているため、欠乏することでクロロフィルがあまり作られなくなりどんどん黄色くなってしまうというわけです。

    また、リボソームというタンパク質をつくる物質の構造維持にも一役かっています。このリボソームはマグネシウムが特定の濃度になっているときに、きちんと機能する構造を維持します。そのためマグネシウムが不足すると、タンパク質の合成に影響がでてしまいます。

    ● 機能的な役割
    マグネシウムは植物体内で起こる化学反応の補助も行っています。例えば、光合成によってグルコースを作る過程でも、マグネシウムが存在することで反応が円滑的に進みます。

    もう少し詳しく説明すると、マグネシウムは酵素とリン酸が結合する際の橋渡しを行います。酵素にリン酸が結合することで、グルコースを生産する回路やグルコースからエネルギーを作り出す回路がうまく回るようになります。

    さて、以上のようにマグネシウムは特に葉緑素の維持に重要であるということがわかったかと思います。葉緑素がなければ植物はデンプンを作ることが出来なくなり栄養不足で枯れてしまうため、大変重要な元素であると言えます。

    土壌管理を適切に行って、マグネシウム不足にならないように心がけましょう。