レタスとキャベツは交配できない!
1.交配できるかの目安の一つは"属"
タイトルにも書いていますが、レタスとキャベツは交配できません。形が似ていて交配出来そうな気もするんですけどね。実際のところ、レタスはキク科でキャベツはアブラナ科なので遠縁、というかぜんぜん違う種なのです。
基本的に科が違うと生物の中身がかなり異なるため交配はできません。さらに同じ科であっても交配できるものもあれば出来ないものもあります。例えばイネ科であるコムギとライムギは交配できますが、同じイネ科であるトウモロコシとは交配できません。後はウリ科のズッキーニと西洋カボチャは交配できますね。
交配できるかどうかは同じ属同士であるか、あるいは属が近いかどうかである程度判断できます。属が近いかどうかは世界の分類学者さんがせっせとつくっている系統樹というものを見ることでわかります。系統樹とは、種同士の近さをDNAの配列などを比べて数値化して図示したものです。
属という分類を目安に交配できるか判断するのにもやっぱり問題があります。同じ属であっても交配できないということもあるようです。この属という分類はある程度恣意的な判断が入っているため仕方ないのでしょうか?
さてさて、先ほどから「属」という単語を使っていますが皆さんご存知でしょうか?「属」は生物を分類する一つのレベルです。他に良く聞く分類レベルとして「科」「種」がありますよね。これらとの関係ですが、「科」「属」「種」がそれぞれ大分類、中分類、小分類となっています。そして種の下に品種があるというわけです。
西洋カボチャとズッキーニをこの分類にしたがって表記するとそれぞれウリ科カボチャ属西洋カボチャ、ウリ科カボチャ属ぺポカボチャとなります。なんとズッキーニはカボチャの一種なのです。キャベツとレタスは似てるのにぜんぜん違う科であるのに対し、カボチャとズッキーニはそんなに似ていないのに同じ属だなんてなんか不思議ですね。
基本的に科が違うと生物の中身がかなり異なるため交配はできません。さらに同じ科であっても交配できるものもあれば出来ないものもあります。例えばイネ科であるコムギとライムギは交配できますが、同じイネ科であるトウモロコシとは交配できません。後はウリ科のズッキーニと西洋カボチャは交配できますね。
交配できるかどうかは同じ属同士であるか、あるいは属が近いかどうかである程度判断できます。属が近いかどうかは世界の分類学者さんがせっせとつくっている系統樹というものを見ることでわかります。系統樹とは、種同士の近さをDNAの配列などを比べて数値化して図示したものです。
属という分類を目安に交配できるか判断するのにもやっぱり問題があります。同じ属であっても交配できないということもあるようです。この属という分類はある程度恣意的な判断が入っているため仕方ないのでしょうか?
さてさて、先ほどから「属」という単語を使っていますが皆さんご存知でしょうか?「属」は生物を分類する一つのレベルです。他に良く聞く分類レベルとして「科」「種」がありますよね。これらとの関係ですが、「科」「属」「種」がそれぞれ大分類、中分類、小分類となっています。そして種の下に品種があるというわけです。
西洋カボチャとズッキーニをこの分類にしたがって表記するとそれぞれウリ科カボチャ属西洋カボチャ、ウリ科カボチャ属ぺポカボチャとなります。なんとズッキーニはカボチャの一種なのです。キャベツとレタスは似てるのにぜんぜん違う科であるのに対し、カボチャとズッキーニはそんなに似ていないのに同じ属だなんてなんか不思議ですね。
2.ゲノム障壁が鍵を握る
同じ科でも交配できたり出来なかったりということが生じるのはなぜなんでしょうね?実はこれは今のところ完全にわかってはいません。この交配できる出来ないをコントロールしている因子はゲノム障壁とか雑種障壁と呼ばれています。このゲノム障壁は、色々な異なるメカニズムから生じる現象の総称です。大きく分けると受精前の障壁、受精後の障壁、散在反復配列というものがあります。ではそれぞれを簡単に紹介していきます。
ゲノムという言葉ですが、生物を構成する基本染色体セットと定義されています。ゲノムは染色体をグループ化した単位であり、ゲノムを1つ持っていれば少なくとも体を構成するために必要な遺伝子をすべて持っていることになります。アブラナ科ですと、キャベツやカブは1つのゲノムしかありませんが、アブラナは2つのゲノムからなります。アブラナ科のゲノムは1つはキャベツ系のゲノム、もう一方はカブ系のゲノムからなり、結構機能が重複している遺伝子もあります。そういった遺伝子はここの遺伝子の働きを調整してうまい具合にバランスがとられていたり、お互いの機能を補完しあったりしています。
ゲノムという言葉ですが、生物を構成する基本染色体セットと定義されています。ゲノムは染色体をグループ化した単位であり、ゲノムを1つ持っていれば少なくとも体を構成するために必要な遺伝子をすべて持っていることになります。アブラナ科ですと、キャベツやカブは1つのゲノムしかありませんが、アブラナは2つのゲノムからなります。アブラナ科のゲノムは1つはキャベツ系のゲノム、もう一方はカブ系のゲノムからなり、結構機能が重複している遺伝子もあります。そういった遺伝子はここの遺伝子の働きを調整してうまい具合にバランスがとられていたり、お互いの機能を補完しあったりしています。
3.受精前の障壁
まず、植物の受精の流れを説明します。
通常であれば花粉がめしべにくっついて受粉すると、花粉管という管がにょろにょろとめべの中に入っていって、最終的にめしべの中にある胚に到達することで受精が完了します。
しかし種が遠くなってくると、
・花粉管がうまく胚に到達できなくなる
・受粉しても花粉管が出てこない
といったことが起こります。
この現象をコントロールしているたんぱく質は2009年に科学誌”Nature”にて発表されました!!研究の代表者は名古屋大学の東山先生です。論文によると、めしべ側から花粉管を胚に誘引するためのたんぱく質が放出されているということです。このたんぱく質はおそらく種によって異なっており、種が遠いと花粉君がこのたんぱく質を認識できなくなってしまい受精できなくなるということのようです(Okuda et al. 2009 “Defensin-like polypeptide LUREs are pollen tube attractants secreted from synergid cells”)。
通常であれば花粉がめしべにくっついて受粉すると、花粉管という管がにょろにょろとめべの中に入っていって、最終的にめしべの中にある胚に到達することで受精が完了します。
しかし種が遠くなってくると、
・花粉管がうまく胚に到達できなくなる
・受粉しても花粉管が出てこない
といったことが起こります。
この現象をコントロールしているたんぱく質は2009年に科学誌”Nature”にて発表されました!!研究の代表者は名古屋大学の東山先生です。論文によると、めしべ側から花粉管を胚に誘引するためのたんぱく質が放出されているということです。このたんぱく質はおそらく種によって異なっており、種が遠いと花粉君がこのたんぱく質を認識できなくなってしまい受精できなくなるということのようです(Okuda et al. 2009 “Defensin-like polypeptide LUREs are pollen tube attractants secreted from synergid cells”)。
4.受精後の障壁
ではまず通常の受精後の流れを説明します。
花粉と胚が受精すると融合して1つの細胞になります。その細胞が分裂して最終的に種となり、その種を植えることで次世代の植物が生長します。
この過程において、
1.受精はするが、その後即座に死んでしまう
2.受精して融合し受精卵を形成することはできるが、その後受精卵が発育せず死んでしまう
3.受精卵がある程度発育するものの、途中で発育がストップして死んでしまう
4.種子は出来るが発芽しないあるいは発芽してもすぐに死んでしまう
5.種子は出来るものの、受精卵の発育過程で両親どちらかのゲノムがすべて抜け落ちてしまう
6.子供は出来るが孫が出来ない、あるいは孫が母親か父親のどちらか一方の遺伝情報しか受け継がない
という5つの障壁があります。
正常な子供ができるかどうかについてですが、イメージとしては1~6の順番に障壁が並んでいて、種が近ければ近いほど6の障壁までクリア可能といったところです。
この受精後の障壁のうち、6については私自身ある程度理解していますので、これのメカニズムについて簡単に説明します。
コムギでの話ですが、コムギとコムギの親戚とを交配すると種子が生じます。その種子を植えても正常に発育するのですが、収量が本来の半分~1/3ぐらいにまで落ち込みます。この原因は花粉や胚をつくる過程で『コムギの親戚ゲノム』が『コムギゲノム』を攻撃&殲滅し、『コムギゲノム』で出来ている花粉や胚が不良(不稔)になってしまうからです。この結果、コムギの親戚の遺伝情報のみが次世代に受け継がれるようになります。
さて、以上のようにゲノム障壁として受精できるかどうかが第1関門としてあり、第2関門として受精後に正常な個体まで成熟できるかがあります。これらの関門を潜り抜けることができれば交配が成功するということです。
裏を返せば、この2つの障壁のメカニズムを解明することでこれまで交配できなかった種の間での交配も可能になるということです。
将来は”レタベス”なんて野菜が店頭に並んでいるかもしれませんね。
花粉と胚が受精すると融合して1つの細胞になります。その細胞が分裂して最終的に種となり、その種を植えることで次世代の植物が生長します。
この過程において、
1.受精はするが、その後即座に死んでしまう
2.受精して融合し受精卵を形成することはできるが、その後受精卵が発育せず死んでしまう
3.受精卵がある程度発育するものの、途中で発育がストップして死んでしまう
4.種子は出来るが発芽しないあるいは発芽してもすぐに死んでしまう
5.種子は出来るものの、受精卵の発育過程で両親どちらかのゲノムがすべて抜け落ちてしまう
6.子供は出来るが孫が出来ない、あるいは孫が母親か父親のどちらか一方の遺伝情報しか受け継がない
という5つの障壁があります。
正常な子供ができるかどうかについてですが、イメージとしては1~6の順番に障壁が並んでいて、種が近ければ近いほど6の障壁までクリア可能といったところです。
この受精後の障壁のうち、6については私自身ある程度理解していますので、これのメカニズムについて簡単に説明します。
コムギでの話ですが、コムギとコムギの親戚とを交配すると種子が生じます。その種子を植えても正常に発育するのですが、収量が本来の半分~1/3ぐらいにまで落ち込みます。この原因は花粉や胚をつくる過程で『コムギの親戚ゲノム』が『コムギゲノム』を攻撃&殲滅し、『コムギゲノム』で出来ている花粉や胚が不良(不稔)になってしまうからです。この結果、コムギの親戚の遺伝情報のみが次世代に受け継がれるようになります。
さて、以上のようにゲノム障壁として受精できるかどうかが第1関門としてあり、第2関門として受精後に正常な個体まで成熟できるかがあります。これらの関門を潜り抜けることができれば交配が成功するということです。
裏を返せば、この2つの障壁のメカニズムを解明することでこれまで交配できなかった種の間での交配も可能になるということです。
将来は”レタベス”なんて野菜が店頭に並んでいるかもしれませんね。