カリウムは体液の調整役!
カリウムという呼び方は実はドイツ語でして、英語ではポタシウム(potassium)と呼びます。このカリウムもまたかなり重要な栄養素なのですが、いまいちどういった役割を担っているのかイメージしづらいですよね。窒素は細胞など体の基本となる構成物、リンはエネルギーの箱ときてカリウムは何でしょうか?
本コラムではカリウムが不足すると生産性にどう影響が出てくるかを紹介し、実際になぜそういったことが起きてしまうのかをカリウムの役割と絡めて説明していきます。
1.カリウムが不足すると枯れてしまう
窒素と違い、カリウムを大量に吸収しても過剰障害は基本的におきません。これは細胞の中に液胞というカリウムを溜め込む場所を持っているからです。
一方でカリウムの不足した状態が続くと欠乏症がでます。この欠乏症は下のほうの葉から順に起こります。
① まず、葉がぼこぼこしてくると共に、内側にカールしてきます。
② 次に、葉の先のほうが黄色くなってきます。これは緑色のもとになっている葉緑素が減少するためで、クロロシスといいます。
③ 最終的に、クロロシスの生じている部分が白くなって枯れてしまいます。この部分的に枯れあがる減少をネクロシスといいます。
このようにカリウムが不足すると最終的に葉が枯れてしまうため、一般的には植物が蓄えているカリウムの量が減少するにつれて収量も低下します。
欠乏症が生じるレベルというのは、カリウムの量が植物を乾燥させたときの重さの1%を切ったときといわれています。でも実際にはカリウムの量を量ることなんて出来ませんので、欠乏症の初期の兆候が出ていないかチェックして、もしも兆候が出ている場合は適切に対処しましょう。
また、塩が集積している場合は通常よりも多くのカリウムが必要となってきますので要注意です(ハウス栽培の場合)。
一方でカリウムの不足した状態が続くと欠乏症がでます。この欠乏症は下のほうの葉から順に起こります。
① まず、葉がぼこぼこしてくると共に、内側にカールしてきます。
② 次に、葉の先のほうが黄色くなってきます。これは緑色のもとになっている葉緑素が減少するためで、クロロシスといいます。
③ 最終的に、クロロシスの生じている部分が白くなって枯れてしまいます。この部分的に枯れあがる減少をネクロシスといいます。
このようにカリウムが不足すると最終的に葉が枯れてしまうため、一般的には植物が蓄えているカリウムの量が減少するにつれて収量も低下します。
欠乏症が生じるレベルというのは、カリウムの量が植物を乾燥させたときの重さの1%を切ったときといわれています。でも実際にはカリウムの量を量ることなんて出来ませんので、欠乏症の初期の兆候が出ていないかチェックして、もしも兆候が出ている場合は適切に対処しましょう。
また、塩が集積している場合は通常よりも多くのカリウムが必要となってきますので要注意です(ハウス栽培の場合)。
2.カリウムの役割
カリウムが不足するとどんどんと枯れていってしまうわけですが、ではなぜそのようなことがおきるのでしょうか?その原因は植物におけるカリウムの役割にあります。
カリウムは水に溶けやすく色々な化学物質とくっついたり離れたりし易い物質で、水に溶けて体内をちょろちょろと動き回ることでpHやイオンの濃度の調整を行っています。 カリウムの係わっているpH調整で影響を受けるのが、
・タンパク質の合成
・光合成
です。
また、カリウムの行っているイオン濃度調整により、植物の呼吸がコントロールされています。
もう少し詳しく見ていきます。
・タンパク質の合成
タンパク質は複数のアミノ酸を組み合わせて作りますよね?このアミノ酸の組合せを担っている器官(リボソーム)はpHが0.3低下するだけでうまく機能しなくなります。そこでカリウムはpHを調整してリボソームがちゃんと働くようにメンテしています。
・光合成
光合成は葉緑体で行われますが、葉緑体内では非常に高いpHを維持する必要があります。この高いpHを維持するために、細胞内にあるカリウムがどんどんと葉緑体内に入っていきます。しかし、葉などの細胞内のカリウムが減ってくると、葉緑体内のpHが低下し、葉緑素が減少するとともに光合成能力も低下してしまい、糖類がうまく作られなくなってしまいます。
・呼吸のコントロール
植物もちゃんと息を吸ったりはいたりしています。植物が呼吸する場所は気孔と呼ばれ、動物で言う鼻にあたります。この気孔の開け閉めはカリウムが関与しています。気孔の周りでカリウムの濃度が高くなると気孔は開き、低くなると閉じます。ちなみにこの気孔は動物の口のように頻繁にパクパクするのではなく、一定期間ずっと開いたままになります。
以上からカリウムが不足すると、タンパク質や糖類がうまく作られず(= 葉緑素もうまく作れない)、また呼吸がうまく出来ないため糖類からエネルギーを作り出すことが出来なくなるというわけです。そのため、下のほうの葉にタンパク質などが回らない、もしくは下のほうの葉にあるタンパク質などを生長盛んな上のほうの葉に移してしまうため、結果として枯れてしまうわけです。
カリウムは水に溶けやすく色々な化学物質とくっついたり離れたりし易い物質で、水に溶けて体内をちょろちょろと動き回ることでpHやイオンの濃度の調整を行っています。 カリウムの係わっているpH調整で影響を受けるのが、
・タンパク質の合成
・光合成
です。
また、カリウムの行っているイオン濃度調整により、植物の呼吸がコントロールされています。
もう少し詳しく見ていきます。
・タンパク質の合成
タンパク質は複数のアミノ酸を組み合わせて作りますよね?このアミノ酸の組合せを担っている器官(リボソーム)はpHが0.3低下するだけでうまく機能しなくなります。そこでカリウムはpHを調整してリボソームがちゃんと働くようにメンテしています。
・光合成
光合成は葉緑体で行われますが、葉緑体内では非常に高いpHを維持する必要があります。この高いpHを維持するために、細胞内にあるカリウムがどんどんと葉緑体内に入っていきます。しかし、葉などの細胞内のカリウムが減ってくると、葉緑体内のpHが低下し、葉緑素が減少するとともに光合成能力も低下してしまい、糖類がうまく作られなくなってしまいます。
・呼吸のコントロール
植物もちゃんと息を吸ったりはいたりしています。植物が呼吸する場所は気孔と呼ばれ、動物で言う鼻にあたります。この気孔の開け閉めはカリウムが関与しています。気孔の周りでカリウムの濃度が高くなると気孔は開き、低くなると閉じます。ちなみにこの気孔は動物の口のように頻繁にパクパクするのではなく、一定期間ずっと開いたままになります。
以上からカリウムが不足すると、タンパク質や糖類がうまく作られず(= 葉緑素もうまく作れない)、また呼吸がうまく出来ないため糖類からエネルギーを作り出すことが出来なくなるというわけです。そのため、下のほうの葉にタンパク質などが回らない、もしくは下のほうの葉にあるタンパク質などを生長盛んな上のほうの葉に移してしまうため、結果として枯れてしまうわけです。
3.腎不全患者さんへの切り札?
少し視点を変えて、低カリウム野菜について紹介します。
腎不全などで人工透析を受けている患者さんは、体からうまくカリウムを出すことができません。体内のカリウム濃度が高くなると不整脈を起こして心不全になってしまう可能性があるため、人工透析患者さんはカリウム摂取の制限を受けています。野菜にももちろんカリウムが多く含まれているため、生野菜を食べることはできないそうです。野菜に含まれるカリウムはイオンの状態になっており、茹でると茹で汁にカリウムが出ていくため、野菜を食べるには茹でる必要があります。
そんな中、秋田県立大学の小川先生らは低カリウムのホウレンソウの栽培方法を確立しました(小川ら 2007年)。論文によると、ホウレンソウの苗を移植してから5週間後に一切カリウムを与えないことで、通常通り栽培したホウレンソウと比べカリウムの含有量が79%も減少したとのことです。この低カリウムホウレンソウは収量自体は通常とまったく変わらないそうです。多量必須元素といわれるカリウムの施肥量を減らしつつも、生長に影響させずに栽培するとはお見事です。
(参考文献:小川敦史, 田口悟, 川島長治 腎臓病透析患者のための低カリウム含有量ホウレンソウの栽培方法の確立 日本作物学会紀事76: 232-237.)
腎不全などで人工透析を受けている患者さんは、体からうまくカリウムを出すことができません。体内のカリウム濃度が高くなると不整脈を起こして心不全になってしまう可能性があるため、人工透析患者さんはカリウム摂取の制限を受けています。野菜にももちろんカリウムが多く含まれているため、生野菜を食べることはできないそうです。野菜に含まれるカリウムはイオンの状態になっており、茹でると茹で汁にカリウムが出ていくため、野菜を食べるには茹でる必要があります。
そんな中、秋田県立大学の小川先生らは低カリウムのホウレンソウの栽培方法を確立しました(小川ら 2007年)。論文によると、ホウレンソウの苗を移植してから5週間後に一切カリウムを与えないことで、通常通り栽培したホウレンソウと比べカリウムの含有量が79%も減少したとのことです。この低カリウムホウレンソウは収量自体は通常とまったく変わらないそうです。多量必須元素といわれるカリウムの施肥量を減らしつつも、生長に影響させずに栽培するとはお見事です。
(参考文献:小川敦史, 田口悟, 川島長治 腎臓病透析患者のための低カリウム含有量ホウレンソウの栽培方法の確立 日本作物学会紀事76: 232-237.)