北海道における「冬季」の実生 - サボテン-品種不明 栽培記録
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栽培記録 PlantsNote > サボテン > サボテン-品種不明 > 作業の覚書など

作業の覚書など  栽培中 読者になる

サボテン-品種不明 栽培地域 : 北海道 北見市 天候 栽培方針 : 標準栽培 読者 : 0人
栽培環境 : 室内 栽培面積 : 1㎡ 途中から 1
作業日 : 2016-10-23 2016-10-23~0日目 曇り のち 晴れ 10.2℃ 3.7℃ 湿度:55% 積算温度:6.5 ℃

北海道における「冬季」の実生

 北海道の気候は本州のそれとは完全に異なる。本州の実家に9月ごろ電話して、「パパはパンツ一丁よ!」なんて聞いている私は、すでに風へ肌寒さを感じていた。

 夜の気温は18:00の時点ですでに2℃。車のボンネットについた雨の雫は、風に冷やされたのか凍っていた。もうすぐに一面が真っ白の世界が降りてくる。道産子で無い私は、その雪景色を「無の世界」と呼んでいる。道産子の方には大変申し訳ないが、雪と氷に覆い尽くされたこの景色がどうにも好きになれないのだ。

 さて、カテゴリ「サボテン」にふさわしい話にしなければ。

 ここ二ヶ月、本とネットで集めた浅い知識でサボテンの実生を考えると、春蒔きが当たり前である。だが、イレギュラーかつ合理的な理由…「菌の活動が抑えられる」という観点から、冬の実生が行われることもある(実施中)。無論、冬季は動きが無いので種まきに勤しむという理由もあるようだが。
 実生における阻害要因は、個人的にはやはり「カビ」だと思う。目に見えないというのが、他の虫害などよりもかなり罹患率が大きいと思う。これを防除するにはやはり農薬の力を借りなければならない。私も実際、ベンレートの2000倍液を実生鉢に散布した(それでもコケは生える)。
 私はいわゆる「オーガニック」なことをしたいわけでは無い。遺伝子組み換え作物は必要だと思っているし、農薬は昨今の環境汚染問題に端を喫した諸々の法律でがんじがらめに制約され、人体に影響が現れるかどうかよりもさらに薄い濃度の基準で多くは管理されている。それこそ濃縮液をコーラ代わりに飲んだり水和剤を朝食のご飯にふりかけたりしない限りは「直ちに影響は無い」と言えるのだ。だが、やはり使いたくは無い。使うにしても、屋外で使いたい。
 北海道の冬ではそれは無理である。最低気温-20℃を下回ることもあるこの極寒の地で、実生鉢と農薬の入ったスプレーを外に持ち出すとしよう。実生鉢は凍害で死滅、スプレーは凍結で固まるか最悪破裂する。こんな状態で一体どうやって冬の実生を行えばいいのか? そこから、今回の思考は始まった。

 前置きが長くなったが、要するに
「冬に種まきしたいです」
 と、いうことだ。それも無農薬で。バカかと。

 方法はある。要するに「滅菌された隔離環境」を作り出せば良いのだ。培養土を乾熱滅菌されたフラスコに叩き込み、潅水してシリコ栓か綿栓をしてオートクレーブ(湿熱滅菌機)にぶち込んで121℃ 20分程度でチンする。あとはそれをクリーンベンチ(無菌的に作業するためのテーブル)に持ち込んで、別途薬剤で殺菌した種子を接種すればいいのだ。こんなこと、プロでもカネがなければやらないだろうしそこまでやる必要があるのか? というのが問題だ。
 あーでも無いこーでも無いと考えているうちに疲れたので、現実逃避がてら「サボテン種」を扱うサイトを見学していた。その中に、気になるものがあった。「SuccSeed」の「種の蒔き方」というハウツーにある「Fleischer Method」というものだ。簡単に言えば、ジャムを作るのと同じようにすれば滅菌された環境が瓶の中に作れるよ! というもの。これを個人的にブラッシュアップしていこうと思う。

1. 容器
 10cm径のガラスジャーは、きょうびいくらでもホームセンターで売っているので問題無い。
2. 土
 実生用の培養土は市販のものを使う。栄養の少ないものを使う。
3. 日照
 冬は日照が少ない。LEDの栽培ランプを使う。波長は660nm近辺。
4. 加温
 爬虫類用のシートヒーターというものが、この世にはある。もっと良いものが私の知らない界隈にはあるのだろうが。
5. 蓋
 参考にしているFleischer法ではラップを使っている。密封するのは実生において常套手段なようなのでそれに倣うことにする。
6. 殺菌方法
 オリジナルでは電子レンジで2分間とある。そのようにするが、より確実にするのであれば蒸し器で1.5時間処理しては1日放冷するのを3セット繰り返すのが良いらしい。

 …飽きた。
 ここまで考えをアウトプットしたのも久しぶりなので疲れた。最後に引用文献を適当に示して終わりにする。より方法を煮詰めつつ、実生する種を選び、欲望と期待の向くままに道具を揃えて近いうちに実行に移したい。

以上

引用:
1. SuccSeed, "How to sow"
2. NHK趣味の園芸:作業12ヶ月, 平尾博
3. NHK趣味の園芸 サボテン&多肉植物, 小島ら
4. 長崎大学教育学部教科教育学研究報告, 5, pp.49-64; 1982, 橋本ら

Mammilaria 白蛇丸

サボテン-品種不明 

コメント (4件)

  • TK-Oneさん 2016-10-24 00:48:49

    単純に昼間25度以上、夜18度以上で発芽するサボはいっぱいいます。北海道だろうが赤道直下だろうがその環境が作れるかどうか、だけです。滅菌ももともと菌類の非常に少ない高山性のもの以外は必要ないでしょうね。最初の2~3日で水分を吸収すれば乾燥させる事が出来るので菌の影響はほぼ考えなくていいです。むしろこれからの発芽だと冬の間苗をどうするか、が一番考えなきゃなんない所ですね。

  • yumoziさん 2016-10-24 20:49:09

     コメントありがとうございます。
     高山性のものだから菌に軟弱なものが多い、ということなのですね。低地など、ある程度菌の増殖や数が多くなってくるような場所にいるものならば、その必要は少ないと。
     冬の間苗をどうするかということですが、加温と明かりの問題でしたら実生ボックスを使ってコントロールを試しています(見当違いでしたらご指摘願います)。目下のところボックス内の気温が低下傾向にあり、シートヒーターの熱がどこまで「地熱」となって苗に届いているか不明なところです。いずれそのボックスについても公開しようと思います。そちらでもアドバイスをいただければ幸いです。
     ノート拝見させていただきました。Seti-echinopsis mirabilisは「奇想丸」というのですね。SuccSeedを物色中に「変な、渋いサボテンだー」と思って実生のターゲットにしていたところです。
     ご意見を参考に、次なる実生のプランを再考していこうとおもいます。やはり一人で悩んでいるもんじゃないですね。できるだけ無菌的に播種するためだけにアルコールランプ購入まで考えていた次第です。

  • TK-Oneさん 2016-10-24 23:24:00

    どうも一般に広まっている実生方法は業者や大量に蒔いて優品を選ぶような人たちのやり方のようで、実際の現地の発芽とは全く違う方法になってしまってます。私の様な少量多品種を蒔いて出来るだけ現地風に、と言う栽培には向かないようなんです。まあ、どちらが良いかはお好みで・・
    北海道の気候ならば思い切って北米高山種、ペディオやスクレロなんかはどうでしょう。難物、あるいは超難物ぞろいですけど梅雨のない北海道ならもしかしたら屋外で行けるんじゃ、って思ってます。
    実生ボックス、どういう物かわかりませんがコイツ等はCAM植物なので点灯時と消灯時の温度差を出す事が重要ですね。私の場合はこんな感じにしています。
    http://plantsnote.jp/note/15488/144973/
    設定は点灯時32度、消灯時18度で一日8時間点灯って感じです。
    あと、奇想丸の種ならいっぱいあります。いや、それ以外もいっぱいあります。住所教えてもらえれば送りますよ。

  • yumoziさん 2016-10-25 21:45:49

     「ペディオかーなんだろなー」と思って調べたら天狼他諸々出てきてたまげました。私の住む場所は冬は-20℃、夏は30℃まで行くこともあるので、雪や雨をしのぐ方法さえしっかりしていれば似たような環境に住むものを屋外で行けそうですね。北米高山地帯の気候をリサーチしているところです。
     種子提供のお申し出ありがとうございます。ですがコメントを見る前にケーレスへ注文しておりました。ドリコテレ金星やピロソ金青閣と一緒に…。今まさにマミラリア苗も育てているところなのでこれ以上は今の所増やせそうにありません。探しているがスペースの問題で諦めた種はいくつかあるので、その時またご相談させてください。

yumozi さん

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気がついたらサボテンが増え、種を蒔いていた。本からネットから、色々な情報をさらっては空回り。北海道の気候を生かしたサボテンの露天越冬などにチャレンジしたかったが、転勤。つらい。
今後は難物サボの結実や、マミラリアの収集などを目標にしたい。

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