多量必須元素の役割と欠乏症・過剰障害 栽培記録 PlantsNote 
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多量必須元素の役割と欠乏症・過剰障害

前回までのコラムで多量必須元素9つのうちの6つを紹介しました。
今回は紹介した内容のサマリーを一覧にしました。ふと調べ物をしたくなったときなどに活用してもらえればと思います。

ちなみに多量必須元素のうち紹介していない3つとはH(水素)O(酸素)C(炭素)です。
基本的にこれらは肥料として施肥する必要がないため、割愛させていただきます。

それでは以下、多量必須元素の一覧です。

多量必須元素の役割と欠乏症・過剰障害
元素 植物における役割 代表的な肥料 欠乏症 過剰障害
N(窒素) ・アミノ酸やタンパク質、核酸(DNAおよびRNA)の基本構成要素 ・化成肥料
・尿素
・硫安
・鶏糞
・下位葉から順にクロロシス(黄化)が生じる
・上位葉の生長が鈍る
・窒素欠乏が続くと、植物体の生長が阻害される
・葉が濃い緑色になるが、繊維質不足になるため病害虫抵抗性が弱まる
・ヒョロヒョロになる
・度が過ぎると、体内にアンモニアが溜まってクロロシスやネクロシスが生じる
P(リン) ・エネルギーの貯蔵物質
・pHの緩衝作用(pHがほぼ一定になる様に調整)
・酵素の活性管理
・生体膜の基本構成要素
・化成肥料
・過リン酸石灰
・鶏糞
・下位葉から順に症状が現れる
・葉が小さく暗緑色になるとともに茎数が少なくなる
・根の量が増加する
・過剰障害はでにくい
・P過多ではZn(亜鉛)・Fe(鉄)・Mg(マグネシウム)の吸収を阻害する
K(カリウム) ・pHやイオンの濃度調整(高める必要のあるときに高めるなど。Pの働き方とは異なる)
・特にタンパク質の合成や光合成、呼吸における濃度調整
・化成肥料
・硝酸カリ
・下位葉から順に症状が現れる
・初期の兆候として、葉がぼこぼこしてくると共に、内側にカールする
・欠乏状態が続くと、葉の先から黄化し、最終的に白くなって枯れる
・過剰障害はでにくい
・K過多ではCa(カルシウム)Fe(鉄)・Mg(マグネシウム)の吸収が阻害される
S(イオウ) ・タンパク質の構成要素
・タンパク質合成の基点となるメチオニンの構成物質
・硫安 ・下位葉から順に症状が現れる
・窒素と同様、黄色く変色していくと共に、あまり大きく育つことが出来なくなり、最終的には収量が低下する
・収穫物の品質が低下する
・イオウ自体の吸収過多による障害はでにくい
・土壌中に多量に存在することで、硫化水素が発生して根をいためたり、硫酸塩が溜まって土壌が酸性になる
Ca(カルシウム) ・生体反応の指示だし(セカンドメッセンジャー)
・細胞壁の柔軟性の維持
・細胞、特に染色体の構造維持
・苦土石灰
・タンカル(炭酸カルシウム)
・生育の盛んな根の先端や新葉、貯蔵器官など新しい部分で欠乏症が生じる
・葉では最初に黄色くなり、最終的には白く脱色する
・根では、特に先端から壊死し根腐れを起こす
・貯蔵器官では一部が腐ってしまう
・過剰障害はでにくい
・Ca過多では、P(リン)Mg(マグネシウム)K(カリウム)の吸収が阻害される
Mg(マグネシウム) ・葉緑素(クロロフィル)の基本構成要素
・リボソームの構造維持
・苦土石灰
・硝酸マグネシウム
・下位葉から順にクロロシス(黄化)が生じる
・光合成が減って栄養不足となり、収量が低下
・甘みが減り、品質が低下
・過剰障害はでにくい